音のチカラ

東京JAZZに行ってきました。


この日のお目当ては、incognito上原ひろみ

5000人の熱気と喜びと感嘆。今まで味わったことのない、心ゆさぶられるすてきな時間でした。


初めて生で見る上原ひろみは、もう、とにかくすごかった。
終わった後、わたしはしばらく頭がズキズキしてしまったほど、、、
彼女が奏でる(というより体から叩き出すという感じ?)音は、わたしの頭蓋骨を振動させながら、
鼻の奥を何度もツンとさせて。演奏中は幾度も目頭を押さえてしまいました。
ホールを出るときは、もう胸がいっぱい。(でもお腹はペコペコに。聴いている方も体力使います!)
これまで雑食的にいろいろなコンサートやライブに行ってきたけれど、こんな気持ちも症状も初めて。

あの小さな体にはとても収まりきらない、強烈なパワー。
細い右手と左手はひたすら力強く、ものすごい速さで動いていて。
これはまったく別の生命体なのでは?と疑ってしまったほど。


一曲弾き終えた後にごしごしと豪快にタオルで顔の汗をふく姿に、
全身で弾いているのだと改めて感じさせてくれる。
曲が終わって彼女がタオルを手に取った瞬間、やっと観客も一息つける感じ。


初めて見たわたしはもう、ただただ圧倒されましたが、
何度も見ている人いわく、彼女のピアノは「見る度に進化している」のだそう。
前人未踏の域に挑戦し続ける、世界屈指のジャズピアニスト、上原ひろみ。

わたしも絶対、また見にこよう。

今回はThe trio projectということで、Anthony JacksonとSimon Phillipsとの演奏。
とにかく3人が楽しそうに協演していてました。
彼らは本当に、心の底から音楽が好きなんだろうなあ。


incognitoもよかったです。
ノリやすいナンバーに、会場総立ちで盛り上がりました。

フランス系英国人ギタリストのブルーイのMC、ぐっときました。
震災で被害を受けた日本を、音楽の力で元気づけにわたし達は来たよ、と。
印象的だったのはdignity of Japaneseということばと、respect。
ブルーイは、震災直後の混乱を、譲り合いの精神で耐えた日本人を称えてくれました。

これまでも、日本人の態度を海外メディアが賞賛だとか、
そういった報道がされているとは聞いていたものの
実際に海外から来た人の口から聞くと、なんだかうれしいと言うよりほっとしました。
ああ、わたし達は大丈夫なんだ、と。

東日本に暮らす外国人の知人の中には、
震災直後西日本や祖国に避難をしたり、日本を去ってしまった方もいました。
わたしが働いていた会社でも、海外からの日本出張者は激減。

震災から半年近く経た今、こうして彼らが海外から来日してくれたことを改めてうれしく思いました。


そして、わたしはやっぱり、音楽が好きなんだと気づきました。
楽器はどれもうまくならなかったし、なんだか雑食だけれども。
音楽が好き。


幼い頃から母が自宅でピアノ教室をやっていたり
小澤征爾がボストン交響楽団にいた頃に同じボストンに住んでいたこともあり、
(わたしの意思とは無関係に)クラシックを聴く機会には恵まれてきました。
MTVを見ないと話題についていけなかったアメリカ生活のせいかロックも日常的に聴いていたし、
恥ずかしながらコピーバンドなんかをしていた時期も。
けれども、ジャズはあまり聴く機会がありませんでした。


よく考えてみたら、ジャズを聴くきっかけは、ちょうど8年前の夏に友達が誘ってくれた
新潟のジャズフェスに参加したことでした。

それはとある大学のゼミ生たちが役場の人と企画したもので、
新潟は小出で行われるジャズフェスを盛り上げるべくちょっとしたイベントをしたり、
学生バンドがプロと同じステージでジャズライブをして、町おこしに繋げるというものでした。
わたしは一参加者(しかも既に社会人1年目)でしたが、その時のスタッフや参加者のみんなとは、
なんやかや今でも仲良くしていたり、この8年間で結構ライブにも行ったり。
人と人を繋げてきてくれた、音楽に感謝です。


ここの所、仙台で開催されたARABAKIに行ってきた友達の話やら、
この週末はミスチルのコンサートに行った友達のつぶやきやら、
わたしの周りには音楽のはなしがあふれていて。
ジャンルや思い入れはそれぞれに違えど、わたしたちの生活は音楽と共にある。
そう改めて感じた週末でした。


これから先もゆるゆると、音楽とともに
日々のことをしっかり積み重ねていけたらいいな、と思います。

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